馬耕

力強くも優しい歩みで優しく土を起こします

馬耕は先人の知恵が詰まった昔ながらの農業。一歩一歩ゆっくりと土を起こします

北海道の開拓に欠かせなかった馬の力

馬耕

『十勝国産業写真帖』より引用

馬や牛による牛馬耕(ぎゅうばこう)の歴史は古く、始まりは鎌倉時代と言われています。北海道で馬耕が広まったのは、明治に入り本格化した北海道開拓の時代。開墾した土地を耕す馬耕はもちろん、伐採した木や荷物を運ぶ、切り株を引き抜くなど様々な力仕事に活躍しました。昭和30年代に耕耘機が導入され機械化の波が訪れるまでは、馬と仕事をするのが当たり前。日々の糧を得るために欠かせない馬は暮らしの一部だったのです。

馬耕

馬耕

馬耕

左/帯広百年記念館所蔵

中・右/帯広百年記念館所蔵、荘田喜與志氏撮影

昔ながらの馬耕は畑に優しい伝統農法

馬耕

馬耕は化石燃料を使いません。そして馬は機械に比べて軽いので、踏圧による土壌の負担も少なく、雑草を食べてくれて糞は堆肥として利用できるなど、環境に優しい持続可能な農業を考える上でも大きな可能性を秘めています。
西埜馬搬は、馬搬の作業が落ち着く春から秋に、空知のぶどう畑で馬耕を行っています。活躍するのはカップとウクルのばん馬コンビ。力自慢の2頭が農具を引きながら、一歩一歩ゆっくりと畝の間を歩き土を起こします。

馬耕

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馬耕

「馬搬のオフシーズンに馬耕ができたら」その想いは空知のぶどう畑に届きました

春から秋の新たな仕事として馬耕を開拓

馬耕

山林での馬搬に勤しむ冬、西埜馬搬の馬たちは日々鍛錬を重ね強靭な肉体を作ります。馬たちが冬に鍛え上げたポテンシャルを、馬搬の繁忙期を終える春先から次のシーズンまで活かしたいと、構想を温めていたのが「馬耕」でした。

「春から秋に、馬耕ができないだろうか」
馬搬も馬耕も、昔の日本では日常的に行われてきました。馬搬の少ない時期、春から秋に馬耕ができれば、仕事の新規開拓にもなり、馬たちの体力維持にもなる。馬耕に挑戦したい。その願いが実を結んだのは、ぶどう畑で馬耕をしたいという岩見沢のワイン醸造家との出会いでした。

馬耕

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馬耕

試行錯誤をしながら続けるぶどう畑の馬耕

馬

知人から紹介してもらったのが、栗沢の「KONDOヴィンヤード」近藤良介さん。自らを農家と称しワイン用のぶどう作りに情熱を注ぐワイン醸造家です。フランスでの馬耕体験が忘れられず、いつかは自分の畑でも、という想いがあったといいます。
2019年6月に栗沢のぶどう畑で初の馬耕が実現。それからは、農具や作業方法を見直し、試行錯誤を繰り返しながら馬耕を続行。近藤さんは、「3年経った頃から、土が柔らかくなりぶどうの木が元気になった」と、馬耕の効果を実感しています。

馬耕

馬耕

馬耕

ワイン醸造家の近藤さんにお話を伺いました

kondo vineyard 近藤 良介さん

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馬耕ぶどう畑いい関係

  • 1

    土壌への負担が少ない

    トラクターなどのタイヤで畑の土が堅く締まることを「踏圧」といい、通気性や透水性が悪くなったり、根が伸びにくくなることがあります。馬はトラクターに比べて体重が軽いので、土を踏んで固めることがありません。柔らかい土壌はぶどうの根張りが良く、木が元気になります。

  • 2

    畝間の狭い畑に入ることができる

    畝の間が狭いとトラクターが入ることができませんが、馬なら狭い隙間に入って土を耕すことができます。狭い間隔でぶどうの苗を植えることができるので、面積あたりのぶどう植栽本数を多くする「密植」と言う栽培方法が可能です。ぶどうの収穫量を増やすことに繋がります。

  • 3

    正確で繊細な作業ができる

    ゆっくり歩く、左右に少し移動するなど、馬は速度や動きを細やかに調整することができるので、ぶどうの木にギリギリまで寄せて農具を入れることができる。直線的に進むトラクターでは難しい場所も耕せます。また、木の近くに寄れるので、ぶどうの健康状態をよく観察できます。

ワイナリーのぶどう畑から始まった馬耕。北海道を舞台に発展させていきたい

経験を活かして馬耕の場を広げていければ

馬耕

2019年に手探りでスタートしたぶどう畑の馬耕は、近藤さんとの試行錯誤を経て、少しずつ形になってきました。馬たちも畑の作業に慣れ、馬耕という現場に手応えを感じています。そして「KONDOヴィンヤード」での馬耕をきっかけに、空知エリアのワイナリーからぶどう畑の馬耕の依頼が来るようになりました。ときには余市のぶどう畑に訪れることもあります。
西埜馬搬は、ぶどう畑はもちろん、北海道の豊かな恵みを育む畑を舞台に、これからも馬耕のチャレンジを続けていきます。

馬耕

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Special thanks

西埜馬搬が馬耕をさせていただいた
ワイナリー様です

私たちがその大切なぶどう畑の土作りに携われたことを大変光栄に思っております。

  • KONDOヴィンヤード

  • こことある

  • 歌志内上歌ヴィンヤード

  • ワインばたけ浦本

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