馬でつながる
ヒト・モノ・コト
WOODWORK
木工
グリーンウッドワーク作家木育マイスター
草刈 万里子さん
馬搬と、木を切るところから始める
グリーンウッドワークは相性◎
森づくりもイベントも、馬がいる
和やかな時間を楽しんでいきたい。
西埜馬搬は、グリーンウッドワークや木育のイベントに参加することもあります。
みずみずしい生木を人の手で加工し、暮らしの道具や家具を作る木工「グリーンウッドワーク」。
国有林の管理からものづくりの世界へ転身し、グリーンウッドワークのイベントやワークショップを行う草刈さん。木育マイスターでもある彼女は、森づくりの活動も積極的に取り組み、西埜馬搬とコラボイベントをすることも。
ものづくりと馬搬の関わり、魅力について、草刈さんにお話を伺いました。
木が人の手に渡るまでを見届けたい
見届けたい
ものづくりを学び「川下」へ
グリーンウッドワークとは、切ったばかりの生木を斧で割ったりナイフで削ったりして、手作業で小物や家具をつくるものづくりです。
木の塊から器を挽く「足踏みろくろ」や、木を削るドローナイフ「銑(せん)」、銑を固定する作業台「削り馬」など専用の道具を使い、ほとんどの工程を人力で行います。
森の木を切り出すところからスタートし、樹皮のついた丸太を加工していきます。
〝生きている木〟を扱うので木の個性を知ることができますし、水分を多く含む生木は柔らかく加工がしやすいんです。
手工具を使って自分のペースで作業でき、子どもからお年寄りまで誰もが取り組みやすい間口の広さも魅力だと思います。
私は以前、北海道森林管理局で国有林の管理に携わっていました。林業の業種でいうと、「川上」は造林や生産、「川中」は流通や加工、「川下」は建築や製造などにあたります。
当時の仕事は森林を調査して、整備するために伐採をする、いわゆる川上と言われるものでしたが、切られた木がどんな形でエンドユーザーに届くのかが見えなかったんです。
それを見て知って、できればエンドユーザーの近くに行きたい。
だんだんとその想いが強くなった私は、岐阜県の「森林文化アカデミー」入学へと踏み切りました。
そこは林業の技術はもちろん、森林環境や木造建築、木工まで、森林や木に関わる様々な分野を学ぶことのできる学校です。
私はものづくりの学科を専攻し、そこで初めてグリーンウッドワークと出会いました。そして、川上から川下まで、念願だった〝今まで見えなかった全体像〟を学ぶことができたのです。
グリーンウッドワークの枠を超えて
馬枠を超えて
木育の活動をスタート
むかわ町穂別にある「むかわ木育の学校」の話を聞いたのは、卒業後の進路を考えていたときでした。
廃校となった小学校を利用して木育の活動をしている施設で、グリーンウッドワークの道具も作業をする場所もあるという。専用の道具は揃えるのが大変なので、すぐにでも製作できるこの環境はとても魅力的です。
これはいい!と、2017年6月に穂別の地域おこし協力隊として着任しました。
地域おこし協力隊の仕事のかたわら、木育の学校でグリーンウッドワークのワークショップをしたり、通年で樹木を楽しもうという企画も定期的に行いました。
例えば、樹皮を使ってブレスレットを作ったり、節分用の升を作ったり。木工やクラフトに限らず、朴葉寿司を作るなんてこともありました。
木育の学校で行うイベントは、子どもも大人も、地域の人も遠方の人も、誰でも参加できて、できるだけ木の様々な面を楽しんでもらえる内容を目指しました。
西埜さんとは、そんな活動をする中で出会いました。
実は木育マイスターでもある西埜さんは、木育の学校をサポートしていた団体とも交流があったんです。その繋がりで、西埜さんが馬搬で運び出した木材を使って、原木しいたけの生産者さんに協力してもらい、しいたけのホダ木作りをしたこともありました。
馬搬の様子もスライドで紹介して、今までにない個性的なイベントになったと思います。
厚真町の町有林で、馬搬とグリーンウッドワークのイベントをしたこともあります。林の整備を兼ねたイベントで、間伐した木材を使ってヘラを作るというものでした。
そのとき、馬が山林の中をすいすいと進み木を運び出す姿をこの目で見て、とても印象に残ったのを覚えています。
硫酸山の里山イベントに念願の馬が来た!
念願の馬が来た!
馬がいると人が集う
馬搬なら山林の中の木を運び出せる。
私は密かに、これを活かしたい、と思っている場所がありました。蘭越町の硫酸山です。
今でこそ緑豊かな山林ですが、ここは1980年代に工事のため大量の土が運び出され、数十年もはげ山でした。
2004年から現在の所有者が大変な時間と労力を費やして少しずつ緑化し、今に至ります。私も定期的に訪れては里山づくりの活動やグリーンウッドワークのワークショップなどを行っている、思い入れのある場所のひとつです。
硫酸山も手入れが必要ですが、個人所有の山なので大規模な施業はできません。
特に山の上の木は切っても運び出すことが難しい。でも、馬ならできると常々思っていたんです。そして、硫酸山に馬がいる風景が見たい、とも。
とはいえ、気軽にお願いできることじゃない。
何か良い方法はないかと考えていたところ、木育の活動として、馬搬とグリーンウッドワークのイベントを行うのはどうだろう?と思いつきました。
その頃には私も木育マイスターになっていて、木育マイスターによる木育のための活動には支援金が支給される制度があったのです。
この提案に、西埜さんも快諾してくれて、長年温めていた想いは、2023年の春に実現することになりました。
イベント当日は快晴。想像以上に多くの人が集まり、中には馬を撮影するために参加された方もいて、馬がいると人が集まるんだと改めて実感しました。
林業や木工に興味がなくても、馬がいるなら見に行ってみようという動機付けになるんですよね。
午前中は馬で間伐材を運び出し、午後はその木を使ってグリーンウッドワークの作品づくりをしました。
何十年もかけて作ってきた里山は、緑が豊かで気持ちいい空間です。そこに馬がいて人々がいて、なんともいえないほのぼのとした空気が流れている。
この時間を楽しいと感じてもらい、里山の環境を維持するために活動している人たちがいることも知ってもらえたら、イベントは大成功です。
これからも機会があれば、馬搬とコラボしていきたいですね。馬が運び出した木材のうち、細すぎて木材としては使いづらい素材をものづくりに活かすなども面白そう。
これからも楽しみながら、グリーンウッドワークや森づくりの活動を続けていきたいです!
グリーンウッドワーク
草刈 万里子さん
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